概  要  

「現代美術展<分岐点>2011」の会期中、会場内において出品者を講師としたワークショップ。会場に出店しているワークショップ・コーナーの中から体験してみたいものを選んで参加。

開催日時  

2011年9月17日(土)午前10時~12時/午後1時~3時

講  師  

小高一民  LinkIcon「でっかい数珠を作ろう!」
スギサキマサノリ  LinkIcon「嫌い、でもやっぱり好き」
タムラサトル LinkIcon「100gをつくる」
林恭子   LinkIcon「ライブ・ペインティング&トーク」

会  場

いきいき活動センターしずか館(体育館、会議室)
〒349-1102 久喜市栗橋中央1丁目11-1
電話 0480-52-0175

主  催  

西小おやじの会

協  力  

身近で現代美術を見る会

助  成  

埼玉県文化振興基金

東部教育事務所 内田氏によるレポートLinkIconレポートはこちら

小高一民コーナー「でっかい数珠を作ろう!」

「百万遍」という風習があります。大勢の人が大きな数珠を持ち、念仏や真言を唱えながら隣の人に送って廻すというものです。このワークショップでは白く塗った木製の玉を108個用意し、その1つ1つに個人的な希望や欲求、願いなどを込めて絵を描いてもらいます。そしてそれらをつなげ、希望の連なりとしての大きな数珠を作ります。制作終了後、記念撮影をして参加者に贈呈します。

自分のためにしたいことは、実は他の人にもしてあげたいこと。それがわかると自分の欲しいものを他の人のためにまわすことができます。このワークショップには復興への願いや弔いの意味がありますが、宗教色はありません。それよりも、いま起こっていることに目を向けてもらうことが目的です。 *写真をクリックすると拡大します。

さっそくみんな描き始めました。様々な思いを込めた数珠玉が次々と出来上がってきます。

近くの幼稚園の先生方も飛び入りで参加!さすがに幼稚園の先生はこういうのに慣れてます。西小おやじの会のメンバーが出来上がってきた数珠玉に紐を通していきます。「まるで修行みたい、結構大変だよ、これ。」

出来上がった「でっかい数珠」を「百万遍」のように廻しながら、みんなの復興への願いを共有し、また、自分の願い・希望を他の人に廻します。最後にみんなで記念撮影。笑顔が美しい!ひとつひとつも素晴らしいけど、つなげてみるともっと素晴らしくなるんですよね~。子供たちからは「なんだか達成感あるよね」という声も聞こえてきました。
誰かが「ハート型にしてみようよ!」と。子供の発想の豊さに大人たちも「元気をもらった」ワークショップでした。
この数珠はいずれ東北の被災地へ行くことになります。

スギサキマサノリ コーナー「嫌い、でもやっぱり好き」

展示作品には二つのイメージが合成されています。その作品を鑑賞しながら、反対の意味を示すものごとについて各自が考えます。次に1つのイメージとその正反対を示すイメージを思い浮かべ、それらを透明な板に描いて、最後にその2枚を重ね合わせます。できあがった作品を並べ自分の作品について解説し、またそれに対して自由に感想を述べます。

思春期にある中学生の多くは、いつも相反する感情を抱えています。このワークショップでは、異なるイメージを重ね合わせることで思わぬ効果がもたらされ、そこから新たなものの見方の発見へとつなげます。そのことで自己を見つめ直す契機とし、さらに他者を知ることで自己への洞察が深まることを期待します。

このワークショップは、日常から離れた不慣れな場所で行われます。しかし、完成するまでどのような作品になるかわからないため、最後まで制作に集中できると思います。

タムラサトル・コーナー「100gをつくる」

「1kgToy」という文字をカラーブロックで作った「重さの作品」を予め展示しておきます。この作品について説明しながら、目の前でその「1」を取ってみます。「1」の部分がちょうど1kgあるので、計量器の表示が1kg減ってびっくり!引き続き体重が100kgになるまで作者が水を飲み続けるというドキュメント・ビデオ「100kg Man」を見て笑い!

計量器を使って各自、重さを計りながらカラーブロックでの制作を始めます。まず50gを目指して作り、できあがったらその大きさと重さのバランスを覚えておきます。一度崩して、次に100gを目指して制作。ぴったりになったら計量器に乗せて記念撮影し、後日、その写真を贈呈します。

カラーブロックは、形や色で遊びながら自由に組み上げいく玩具ですが、ここでは1人100gだけを使います。これは展示してある「1kgToy」の「1」の部分の、ちょうど10分の1の重さです。いちばん小さいブロックは1g以下なので100gにするのはさほど難しくありませんが、形にこだわる人は気に入るまで作り直してください。作者の制作過程を追体験することで、その間の試行錯誤が見えてくるかもしれません。

林恭子コーナー「ライブ・ペインティング&トーク」

このワークショップは、まず講師によるライブ・ペインティングで幕を開けます。その合間に、日常のこと、作品制作のことなどをお話しし、そこで感じた気持ちを抽象的なかたちで表現してゆきます。それに対してみなさんからは、絵を見ながら、話を聞きながら気がついたことを教えてください。
この絵は、見ている人とコミュニケーションしながら完成させていきます。ですので、途中からはぜひ皆さんもいっしょに描いてみてください。絵でも言葉でもけっこうです。一方的に伝えるのではなく、そこにいる人たちの交流が絵になってゆきます。
そして最後に、でき上がった作品を寄せ合って完成。みんなで作った心の合唱のような一枚。